輸入豚肉における関税法違反に関する再発防止策等についてのご報告
この度弊社は、輸入豚肉の関税法違反事件による再発防止策等の検討をしておりましたが、その結果につきまして以下のとおりご報告いたします。
なお今回の件につきまして、お客様、株主様をはじめ、関係各位にご迷惑、ご心配をおかけしましたこと、ならびに関係ご当局にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
今後は、国内養豚生産者の経営の安定を目的とした豚肉の差額関税制度の意義をよく理解し、下記の施策を実施することで再発防止に努めてまいる所存でございます。
1.今回の件の概要について
今回の輸入豚肉に関する関税法違反事件におきまして、A社およびその代表取締役B氏と顧問C氏が外国産冷凍部分肉を輸入するにあたり、平成14年4月1日から平成15年10月14日までの間、不正に関税を免れようと関税額を過小に見積もった輸入申告を行い、関税合計約9億4千1百万円を免れたとして、関税法第110条第1項違反の関税ほ脱罪容疑を受け、6月22日に起訴されました。
弊社社員2名につきましては、不正の行為により関税を免れた輸入貨物であることの情を知りながら、平成14年8月1日から平成16年2月9日までの間、商社を通してA社より約3千tの外国産冷凍豚部分肉を買い受けた容疑で、関税法第112条第1項違反の関税ぞう物罪により、同日略式請求されました。起訴を受け、当該社員2名は即日裁判所にて罰金それぞれ30万円の納付を済ませております。
同時に弊社は法人として、関税法第117条第1項の両罰規定により起訴されましたが、これは当該社員が関税法違反容疑を受けたことに対しての使用者責任を問われてのことでございます。
今後は、法人として司直の場での審議になりますが、これには真摯に対応してまいりたいと存じております。
2.再発防止策について
今回のご報告の件に関して、法人として起訴されたということを厳粛に受け止め、またコンプライアンス(法令遵守及び企業倫理)の徹底ができなかったことを深く反省し、以下の再発防止策を実施いたします。
また、今回の再発防止策の進捗状況につきましては、定期的に公表してまいります。
(1)輸入豚肉の仕入基準の見直し
|
i. |
農林水産省生産局畜産部長からの4月25日付けの通知「豚肉の差額関税制度の適正な運用について」に基づいた仕入を実施いたします。 |
|
ii. |
上記iの通知の趣旨を理解し、遵守できるお取引先様からのみ輸入豚肉を仕入れるようにするため、お取引先様に確認書の提出を求め、提出をいただいたお取引先様を取締役会の承認後登録いたします。輸入豚肉の仕入はこの登録したお取引先様のみからしか行いません。なお、登録は毎年更新を行います。
新規仕入先につきましては、確認書提出後、社長の決裁を得た上で登録することといたします。
|
|
iii. |
上記お取引先様以外の企業及び個人との仕入交渉/接触を一切禁止いたします。 |
(2)CSR推進本部の設立(7月1日付け)
今回の件では、残念ながら弊社の「法令遵守の姿勢」と「社内コミュニケーション<報連相>」に甘さのあることが明らかになりました。今後二度とこのようなことを起こさないための対策の一環として、執行役員を本部長とし、スタッフ40人からなるCSR推進本部を新設し、以下の内容でコンプライアンスの徹底を推進してまいります。
1.組織の目的
本部長には「コンプライアンス違反行為に対しては社長代行として改善指示が出来る権限」を与え、その責任は「監査等を通じた問題点の早期発見・社長及び取締役会への報告/現場への改善指示/是正プロセス及び結果の確認と社長及び取締役会への報告」となりますが、今後、組織を拡充させることで、コンプライアンス以外のCSR関連のテーマにも範囲を広げて、今回失った信頼を一日も早く取り戻し、最終目標として「あらゆるステークホルダーに喜びを与えられるような企業」になれるよう努めてまいります。
また、法令遵守に関する講演会等の実施等の取り組みを継続的に進めることにより、全ての役員及び従業員について法令遵守に関する意識改革を徹底します。
2.推進活動内容に対する基本的な考え方
|
・ |
社会的な常識を正しく認識するための情報提供と指導 |
|
・ |
社内の問題点を早期に発見し改善につなげるための積極的な活動 |
|
・ |
社内各ディビジョン(本部)機能、管理部門との連携 |
|
・ |
特定の部署や個人が情報を囲い込むことのないよう、風通しよく開かれた組織風土、企業体質の確立 |
|
・ |
社内外の声を真摯に聞く、開かれた姿勢 |
|
・ |
マイナス情報を含めた積極的な社内外への情報発信による説明責任の履行 |
今回の事件を例に挙げるまでもなく、社内関係者だけの運用では、気付かないうちに視野が狭くなったり、偏向する危険性がございますので、社外有識者(※)からの適切かつタイミングの良いアドバイスをいただいて、今後計画および運用してまいります。
また、CSR推進本部が事務局となるCSR委員会は、委員長を社外有識者に委嘱し、第三者の目で弊社のCSR体制をチェックし、その結果を取締役会に提言する委員会として位置付けております。
※社外有識者
氏名 |
島田 恒 (しまだ ひさし) |
所属等 |
京都文教大学 人間学部 教授
関西学院大学 大学院 商学研究科 講師<企業倫理担当>
経営学博士
日本経営倫理学会 会員
|
主な著書 |
『フリーダミズムの時代』
『現代企業における個人の自立性』<共著>の第9章「日本的経営の再出発と個人の自立性」
|
|
【再発防止への活動計画】
何を |
いつ<予定> |
新たな仕入チェック方式の遵守状況の確認
○ |
ミートディビジョンの輸入豚肉の仕入部署で、新たに導入したルールが確実に守られているかを監査します。 |
|
7月から毎月 |
幹部対象の講演会開催
○ |
幹部を対象に「企業運営におけるコンプライアンスの重要性」について有識者に講演頂きます。 |
|
8月中
今後は年1回
|
各地勤務管理職対象の講習会開催
○ |
今回の当社の不祥事や、これまで報道された他社の不祥事に対する世間の対応・評価を例に、法令遵守の大切さを再認識させます。 |
|
8月中
今後は年1回
|
各ディビジョン内・管理部門による講習会開催
○ |
今回の当社の不祥事や、これまで報道された他社の不祥事に対する世間の対応・評価を例に、各部門業務にかかわる法令遵守の大切さを再認識させる講習会を各ディビジョン毎に開催させます。
|
|
8月中
今後は年1回
|
現場担当者へのヒアリング実施
○ |
商品輸入担当部署の関係者に対し関税にかかわる問題点の有無や内容についてヒアリングを実施します。 |
○ |
ヒアリング等で問題点が明らかになった場合、社長に報告すると共に社長の指示代行者という形でCSR推進本部長が該当する部門長に改善を指示し、改善される迄確実に確認し、結果を社長に報告します。 |
|
8月中
今後は年1回
|
|
【各部門との連携活動計画】
何を |
いつ |
各部門の管理機能による部門内ルールの見直しと修正
○ |
ル-ルの遵守状況のチェック/遵守の徹底/ルールが明文化されていない場合の明文化と遵守の徹底これらの活動をCSR推進本部が支援し、最終的に結果を文書でCSR委員会に提出させます。 |
|
10月末まで |
「してはいけない言動」をまとめたQ&Aの内容充実
○ |
各部門と連携し、具体例の収集と周知を積極的に行います。
|
|
10月末まで |
|
【CSR推進本部 日常業務の活動計画】
何を |
いつ |
監査等を通じたコンプライアンス上の問題点の早期発見と社長及び取締役会への報告/現場への改善指示/是正プロセス及び結果の確認と社長及び取締役会への報告
○ |
問題発見時は即社長に報告すると同時に、現場に改善をさせます。 |
|
毎月の監査時 |
世間で報道された各社CSR活動の具体例の情報配布
○ |
CSRの観点で「×」の行為行動を、マスコミ報道等を中心に集めた情報から、定期的に全部門に流します。 |
○ |
逆に、この行為行動がCSRの観点から「実施したら○」とされるということを関係部門に流し、計画的に採用するよう提案します。
|
|
毎月定期的 |
ルール作成の推進および水平展開の提言
|
毎月の監査時 |
|
【社内外からの相談受付窓口について】
従来から下記の窓口でご相談等をお聞きしてまいりましたが、お客様の工場見学やお取引先様との商談の場等におきましても、弊社に対するご批判等を積極的に伺い、改善すべき点等について指摘・要請があった場合誠実に対処してまいります。
社外からのお声 |
弊社ホームページ |
https://www.itoham.co.jp |
弊社お客様相談室 |
フリーダイヤル:0120-011186 |
社内からの声 |
なんでも弁護士相談室 |
受付:堅正弁護士 |
ユニオン相談ダイヤル |
受付:労働組合 |
社内相談窓口 |
受付:監査室 |
人事ホットメール |
受付:人事デパートメント |
|
(3)組織の変更と人材の流動化(予定)
現在加工原料の仕入を行っております生産ディビジョン加工原料ユニットを、生産原料ユニットという部署名に変更した上でミートディビジョンの管轄に移すことで仕入の一元化を行い、管理強化を徹底いたします。
また、長年同一の業務に携わることによる規範意識の低下等の弊害を防止するため、人材の流動化を図り、組織の活性化につなげてまいります。
3.関係者の処分について(平成17年7月19日付け)
(1) |
関係者の処分につきましては、起訴事実及びこれまでの内部調査により以下のとおり行います。 |
(役職名は平成14年10月1日現在。【 】内は現職)
対象者 |
処分内容 |
ミートパッカー事業本部輸入食肉二部長
【ミートディビジョン輸入ポークユニット・ゼネラルマネージャー】
|
諭旨解雇 |
生産事業本部調達統括部海外調達部関東加工原料課長
【生産ディビジョン加工原料デパートメント原料企画室長】
|
諭旨解雇 |
|
対象者 |
処分内容 |
代表取締役会長
【同上】
|
役員報酬カット30% 3ヶ月 |
代表取締役社長
【同上】
|
取締役兼執行役員 ミートパッカー事業本部長
【取締役兼常務執行役員】
|
取締役兼執行役員に降格
役員報酬カット30% 3ヶ月
|
執行役員 生産事業本部長
【取締役兼常務執行役員】
|
役員報酬カット20% 3ヶ月 |
執行役員 ミートパッカー事業本部ミートパッカー関東事業部長
【取締役兼常務執行役員】
|
役員報酬カット10% 3ヶ月 |
執行役員 生産事業本部調達統括部部長【取締役兼上席執行役員】 |
取締役 ミートパッカー事業本部海外統括部長【取締役兼執行役員】 |
(平成15年2月21日現在)
ミートパッカー事業本部マーケティング部長
【執行役員】
|
譴責 |
生産事業本部調達統括部海外調達部長
【生産ディビジョン加工原料デパートメント・マネージャー】
|
出勤停止10日間 |
|
(2)役員報酬の自主返上
今回の事件により、お客様、株主様をはじめとする関係各位に対してご迷惑、ご心配をおかけしたことを踏まえ、上記処分のほか、上記以外の取締役および監査役につきましても、報酬の一部を自主返上いたします。
以上でございますが、弊社は今後コンプライアンスの徹底を図り、上記の再発防止策等の取り組みを風化させることのないよう、取り組みが成果を挙げているかを常に検証する等、不断の努力に全力を尽くしてまいります。そして、今後二度とこのようなことが起こらないよう努めてまいりますので、何卒ご理解の程よろしくお願い申し上げます。